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不動産投資家のための「商工中金」完全マニュアル

今回は、不動産投資エンカレッジ編集の『不動産投資家のための「商工中金」完全マニュアル』を取り上げます。
特定の金融機関対策の教材というのはレアですね。
商工中金というのは、不動産投資家の間では、知る人ぞ知るといった感のあった金融機関で、もはや伝説となってしまった『地方プレミアム投資術』の伊藤氏も、福島の数物件で商工中金から融資を引いていました。

こういったマニュアルは、商圏から考えて、そもそも都銀レベルの支店網がある金融機関でない限り商品として成立しないのと同時に、その金融機関がそこそこ不動産への融資が緩くないと、マニュアル化する必要もない、ということで、こういう教材があること自体、不動産投資家にとっては、見逃してはいけない金融機関だということがいえます。

そういった意味で、金森氏の本は、在りし日のSMBCマニュアルでしたが、あのころに比べると、本当に不動産投資を学ぶ環境は変わったな、と感じます。
教材も色々と充実しています。
無論、金森本以上の煽り本もあります。
あれ以上に、露骨な自分の商売に引き込むための本もあります。
でも、まともな教材も増えてきました。

それらを取捨選択して提示していくのは、我々先達の務めかもしれませんね。
一層努力します。

さて、商工中金については、政府系ということもあり、融資スタンスやロジックなどに少し癖があり、一般の金融機関向けの対処とは異なってくる部分があるので、こういったマニュアルが出る意義は少なくないですね。

不動産投資家のための「商工中金」完全マニュアル

●オススメ表
ジャンル 融資
タイプ ハイレバ一棟もの投資家
レベル 中-上
価格 ¥21,000
サポート 事業計画書添削・スカイプ相談
返金保証 特になし
オススメ度 70点

●商品概要
A4のテキストです。公庫のマニュアルの表紙は、安っぽい黄色い紙にカラーで印字しただけでしたが、今回はフルカラーw
気合いの入り方が違いますね。
まあ、表紙の絵・写真は、あんまり中身と関係ないような感じもありますが・・・。

では、読み進めていきます。

第1章は、商工中金についての説明です。
まず、普通の金融機関であれば、こんな章は要らないんでしょうが、一通りの説明書きが書かれています。
正確には、今は政府系金融機関とは言えない理由や経緯なんかも書かれています。
とはいえ、中の行員は、今でも、政府系の意識で働いてますからね。
利用者の側も、しばらくは政府系というくくりで接していきましょう。

あと、政策金融公庫との比較も出ていますね。
規模や取り組みの違いなどが書かれていますが、読者からすると、一番知りたいのは融資金額の規模での比較ですかね。
このあたりは、後の体験談が参考になるので、ここはさらっと流し読みする程度で良いかと思われます。

次いで、商工中金の融資の特徴について。
不動産投資家のためのマニュアルですので、構造別の年数とか、収入の掛け目とか、そういったところですね。
こういった特徴から、どういう物件が商工中金で取り組みやすいか、といったことがわかるようになっています。
こういうのは、非常に助かりますね。
銀行によって評価基準は違うのは当たり前とはいえ、商工中金の場合は、結構特殊です。

第2章は、融資の申し込みから審査を経て実際に融資を受けるまでの流れを、簡単に書き出しています。
融資相談から申し込みへの持ち込み方、そして審査を受ける段での注意事項などが、細かく書いてあります。
持っていったほうが良い資料が書いてあるのが良いですね。
先方が言う必要資料は、あくまでも最低限のものですし、見せて損にならない資料は持参したいものです。

第3章は、執筆陣が考える商工中金で融資を受けるポイントについて7つに分けて書いてあります。
面白い名前の法則もありますが、言われてみれば納得。
収益が高すぎると、返済年数を短くされてしまうんですね。
このあたりは、超保守的なシミュレーション表で乗り切りたいところです。

第4章は、第3章とは逆のアプローチで、執筆陣が考える商工中金で融資を受けるためにやってはいけないNG集。
事業融資を引っ張るステージに立った不動産投資家にとっては当たり前の知識がほとんどですが、大事ですね。
商工中金相手に限らず覚えておきたいところです。

第5章は、体験談。
色々な人の例が載っています。
で、間接的に色々なことが分かりますね。
ヒロシ氏が融資に取り組めた、ということから、属性は関係ない金融機関だ、ということがわかります。
沢氏が奈良の物件に取り組めた、ということから、地域は関係ないんだな、ということがわかります。
工藤氏の話からは、完全に事業に融資をするという姿勢だな、ということがわかります。
それぞれ融資の金利や額、年数が書いてあるので、だいたいの規模感などがつかめると思います。
こういうのが非常にありがたいです。
読者は、融資を引き出した事例というか手触りというか、そういうのが知りたいのです。

第6章は、現役行員へのインタビュー
組織として、不動産投資に利用されるということをあまり想定していないための戸惑いみたいなものが、インタビューの中でも、ここかしこにうかがい知れるのが面白いところです。
でも、事業として回るなら、そのプロジェクトには資金を出しますよ、断る理由はないですよ、というのがまずありますね。
これは、不動産投資の世界では収益還元なのですが、新鮮な感覚に襲われるのはなぜでしょう。
でも、いつかのSMBCの融資判断のような危うさを感じないのは、結構厳しめのシミュレーションと、年数の短さにあるのでしょうね。
10年で回収する感覚なら、そんなに危険は感じない、と。

巻末資料として、各支店の連絡先が書いてあります。
まあ、おまけですね。

不動産投資家のための「商工中金」完全マニュアル

●K's View
本教材の現役行員へのインタビューの章でもあったのですが、商工中金のモットーは、「中小企業の中小企業による中小企業のための金融機関」ということです。
なので、すでに大家業を事業レベルで行っている人向けの金融機関ということになり、これから不動産投資を始める、と言う人には、役に立たないマニュアルです。
あえて個別の金融機関マニュアルを、ということであれば、同じ執筆陣の手によるコレをお勧めします。

逆に、すでにいわゆるサラリーマンの属性で取り組めるアパート・ローンの枠をすでに使い切った人、またはすでに専業になった人には、体験談などから、実践的で面白い知識を引き出せると思います。

不動産投資に融資の話は必須なのですが、なかなか具体的な金融機関に焦点を絞った教材というのはありませんから。

あれば欲しい。でも、無い。

冒頭でも申し上げた通り、これは考えてみれば当たり前のことで、都銀レベルでもない限り、個別の金融機関の傾向と対策をまとめた教材というのは、市場として成立しえないからです。

商工中金という、全国規模(実は海外支店もあるということを今回初めて知った)の金融機関は、その意味でマッチしています。

当たり前ですが、○○信金▲▲支店■■融資課長の完全マニュアルみたいなものはないのですね。
そんな商圏の狭いマニュアルなんて、ペイしません。

石渡氏のブログや本が、自身の実践とは裏腹に、机上の空論と批判されることがある背景には、この点があります。

彼が信金や第二地銀への取り組み方を一般論で記述しているのは、そんなもの具体的に書いたところで、ニッチ過ぎてほとんどの人間にとって役に立たないからです。
だから、専業大家が事業融資を引く際の一般論で書いているのですが、そこが、パッケージのアパート・ローンのシンプルさやそれを前提とした今田氏のマニュアルに慣れた側の人間からすると、肝心なことが書かれていないと感じたり、物足りなさや具体性の乏しさを感じたりすることとなるわけです。

このあたりは、セミナーまで、自分の弟子に任せてしまう今田式とは、一線を画します。

残念ですが、信金の一担当者ごとの普遍的な攻略法なんて、ないのです。

彼自身も、自分のやっていることを伝えるのは難しいと語っていました。
だから、社員を雇っても、完全に任せるレベルを目指すのは難しい、とも。

確かに、物件の管理なら、人を雇い、管理会社を使うよりも安く運営することはできるかもしれませんが、新規物件の調査となると、難しいですね。

耐用年数を越えた築古物件を、うちはこういう基準で運営しますから、と信金の担当者を説得して事業融資を引っ張ってくる術なんて、マニュアル化してどうこうする話ではないのです。
自分で財務諸表が読めて、シミュレーションも立てられて、会社としてこうやって経営します、ということを説明できなければできない術で、それさえも何か簡単なハウツーでどうにかなったら、だれでも専業大家で成功できますってば。

いや、その幻想を売るのが不動産投資教材なのだ、と言うのなら、少なくとも自分はその幻想を壊す側に、立ちたいものです。
このレビューサイトを通して。

●結論
まだ大家業を始めていない方は、買う必要はありません。
商工中金では、不動産賃貸業者に融資を行う、という姿勢を取っているため、そもそも当該事業の事業者として見なされないことには、融資を引けないからです。
既存の融資が、アパートローンであろうと事業者ローンであろうと構いませんが、できれば何期か積み重ねた法人で大家業をやっている方が読むのが良いですね。
こういう物件なら商工中金に向きそうだな、というイメージを頭の片隅で持っておくことで、物件選択の幅が広がります。
特に地方の高利回りの物件の運営に自信がある方には、おススメです。

不動産投資家のための「商工中金」完全マニュアル

●オマケ
教材とは別に、商工中金について、自分自身が感じたことを書いてみます。
私自身は、商工中金から融資を受けたことはありませんが、相談に行ったことはあります。
出てきた担当者は、切れ者という感じの人で、都銀の法人部あたりにいそうなタイプでした。
地方都市の支店でしたが、以前は東京のとある支店にいたそうで、そのときは、ファンド系の物件ばかり取り扱っていた、とか。
不動産は好きそうなタイプでした。
やはり、政府系ということを非常に強く意識していて、民業圧迫にならないかどうかを、まず気にしながらの判断でした。
ですので、民間の金融機関で出来そうな案件は、そっちに持って行ってくれ、という回答です。
十分に回ってる案件での、民間からの借り換えなんて、もってのほかです、と。
逆に回ってなくて、他に引き受け手が無いような案件の方が、やりやすい、と。
何となく、リーマンショック後のファンド系の話を思い起こさせました。
そういうのをいっぱいやってきたんでしょうね・・・。
あとは、サイズ的には数千万から上。
それより小さいのは、公庫でお願いします、ということですね。
そういう住み分け意識が、彼らの中ではあるようです。

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プロフィール

投資家K

投資家K: ロスジェネのど真ん中世代。三児の父。

しばらく賃貸経営とサラリーマン稼業の二足のわらじを続けていましたが、数年前にサラリーマンを卒業し、賃貸経営専業となりました。

これまでに不動産投資関連のセミナー・本・教材に費やした額は、数百万に上ります。

これからも不動産投資教材を検証していきます。

連絡先はこちら↓
lti_investor_k@yahoo.co.jp

育児を最優先にしているため、返信には時間がかかることがありますが、なるべくお返事できるように頑張ります。
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